今年の2月は濃いさよならの連続でした。
惜しくないと言いませんが、別れは清々しくがモットーです。
今を綺麗に過去にしないと次の一歩がしっかり踏み出せませんからね。
(liveの話)
大学の友人たちとやっていたバンドが解散した。メンバーのほとんどが就職活動をする
ことも理由の一つだったけれど、なによりドラムの子が留学してしまうのだ。少なくと
もこのメンバーでライヴができるのが最後だと、誰もはっきりと口にはしなかったけれ
ど、分かっていた。ライヴ当日、なぜかみんなゆるゆると緊張感がなく私に至ってはほ
ぼ
「眠い」しか言っていなかった。ホントに誰も慌てていなくて、一曲目の終わりにエ
レキの弦が切れてしまったのだが、ベースの子が
「どなたかー!お客様の中にギタリストは居ませんかー!?」
と謎のMCをしていた。したらなんと
貸してくれくれる方がいらっしゃいまして!
最後のライヴを借り物のレスポールで弾いた。貸してくれた方はそれを「相棒」と呼ん
でいて「相棒」はとても大事にされていることが弾いてすぐに分かるようなギターで、
美しかった。
そんな感じにハプニングもあったのだけれど、なんとなくあの瞬間を楽しめる予感は共
通していたのではないかと思う。今までのライヴでの中で一番楽しかったと素直に思っ
た。打ち上げ後、始発の電車に揺られている時、メンバーの会話がいつも通り過ぎて少
し笑った。
(Kさんの話)
今のバイト先で一番お世話になったKさんが卒業していった。彼女が就職云々の時いろ
んなことに迷っている印象があったのだが、いざ卒業の時、彼女はとてもいい眼をして
いた。結局就職は決まらずに別のアルバイトをするらしい。でも彼女の眼は未来に不安
を映していなかった。その眼がとても恰好いいと思った。
Kさんは大学の先輩でもあり、卒業制作で自分の日記を元にした作品を作っていた。彼
女の毎日が何枚もの大きな紙に書かれていて、何故か一部は紙の洋服に仕立てられてい
た。彼女の日記をあらゆる角度から読んでいるうちに一人で泣いていた。
泣いていたら「あの、5時なので…」と監視員の人に申し訳なさそうに追い出された。
Kさんへのアルバムはオレンジをたくさん使って仕上げた。選別品を考えている時間が
なくてカルディでピンクのマグとチョコレートを買った。最終日、レジの横で握手をし
た。お互い右利きのはずなのに何故か左手で握手をしていた。握手やハグで別れられる
というのは、とても素敵なことのような気がした。
そのあと、久しぶりに煙草を吸った。けれど、煙草はただただ煙草でしかなかった。感
傷は感傷のまま、口の中が少し渇いただけだった。
後日、ロッカーを開けると、Kさんからの手紙が入っていた。開けると「君が男だった
らつき合いたかったよ」という内容で爆笑した。
ありがとうKさん。