そし.て父になる。
あんまり全うな家族ものって得意じゃないのでびくびくしながら見に行ったんですが、
やっぱりだめなとこはだめでした。ある種、ホラー映画を絶対見たくないと思うような
感じに、もう、見せないで!と思うシーンもちらほらありました。
なんというか家族って「よそはよそ。うちはうち。」でいいと思ってるんですよ。比べ
たらあかんのですよ。でも設定上、二つの家族のあからさまな対比が出てくるんで、な
にこれ…めっちゃつらいやん!って思うシーン多かったです。ほら、やっぱり比べても
いいことないよ!言わんこっちゃないよ!と思わせるシーンのつくり方うまくて、ちょ
っとしたアイテムの選び方うまくて、たじたじでした。
ある意味では家族を比べるという恐怖映画だと思います。シーンによっちゃ、ほんまに
怖い。
家族とは時間か血かというのが大きなテーマだったと思うのですが、私は答え出せなか
ったです。見る前は、時間やろなあとぼんやり思ってたんですけど、見た後は、だから
って血の繋がりがなくなることもない。と強く思いました。個人的にどっかに根付いて
しまっている血を感じることがあるので、時間で血は薄まるかもしれないけど、決して
0になることもできないんだろうなと思いました。嫌になるくらい命は重いときもあり
ますね。
あとは、子供って大人の顔色を思いっきり伺ってるよな、というのがリアルで、これま
た怖かったです。
チャップリ.ンの有名な言葉に「人生はクローズアップで見れば悲劇だがロングショッ
トで見れば喜劇だ。」というものがありますが、この映画はクローズアップの悲劇だと
思いました。でも悲劇なんですけど、希望は悲劇にも静かに寄り添っていてくれるのが
やさしいなと思いました。
希望。そうやっぱり希望の話な気もする。後味は全然悪くなかったです。
でもやっぱりちょっと奪われるタイプの映画だったんで、今から見に行く方はぜひ「い
くぞ!」と思って行った方がいいです。なんとなくで見に行くと、予想以上に盗られる
ものがあるかもしれません。