【2009年某日】
アパートのドアを開けると、大量のカマキリが居た。それもただのカマキリではない。普通カマキリと言えば緑色だが
そいつらは白っぽく、部分的に赤みがかっていた。さらに、背中には無数のトゲが生えている。ハリネズミのごとく、
生えている。しかもやつらは普通のカマキリよりも明らかに大きかった。
(新種!新種なんか!でもなんで、私のアパートにわくんや!)
私が内心絶叫しながら玄関先で絶望していると、父が帰ってきた。
父は部屋の中を見ても特に驚くことなく、至って冷静に言った。
「あぁー…、これは、カミキリムシやなあ」
「カミキリムシ!これが!あのカミキリムシ!」
私はつい、そう叫んでしまっていたが
(いや、絶対カミキリムシとは違う!)
ことは分かっていた。