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【2011年1月】
そこはお風呂場だった。見慣れた自宅のお風呂場だ。そこで私は自分の鎖骨の少し上のあたりに剃刀を食い込ませてい
た。自分の意思ではなかった。ただその時はなんでだか身体が頭の言うことを聞かなくて、私の手はものすごい力で剃
刀を身体に食い込ませていた。痛覚も吹っ飛んでいるようで傷の重大さは全く判らなかった。だが、痛みもまるで感じ
なかったのは救いだった。
突然、金縛りが解けるみたいに頭と身体の回路は繋がった。私はすぐさま剃刀を手放し傷口を押さえ、ぜえぜえと呼吸
をくり返した。詰まっていたものがとれた後みたいに息は乱れていた。痛覚はまだ麻痺しているようで、すごく痛いよ
うな気もしたし、全くそうじゃない気もした。
しばらく、じっと傷口を押さえた後、私は鏡に向かった。鎖骨の上には擦り傷のような痕が残っていた。傷はすっかり
塞がっていたが、せっかくの白いシャツは台無しになった。
(ちなみにこの後、はじめて会う10歳下の妹がなついてくれなかったり、中国人漫画家である新しいお父さんを紹介さ
れたりします。ですがその辺の記憶があやふやすぎるので、ここまで)